迫りくる水流、方舟に乗れるのは誰か?夕木春央「方舟」読了レビュー!

夕木春央

皆様、おはこんばんちは!ノミヤです!

皆さんは読書アカウントを持っていますか・・・?先人のように問いを投げていますが、私自身先月始めたばかりの初心者🔰ですw

ところがこれがなかなかに面白い!いろんな読書家のオススメや最近の話題書籍をリアルタイムで追えるので、いろんな世界を知りたい私には存外便利なツールになっています!そんな読書アカウントの方々の間でここ最近最も話題に上がり、白熱した書籍を皆さんはご存じでしょうか?

それが夕木春央先生の「方舟」です!!

書籍情報&あらすじ

<タイトル>方舟(はこぶね)

<著者>夕木春央

<あらすじ>

極限状況での謎解きを楽しんだ読者に驚きの〈真相〉が襲いかかる。

友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。
いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。
生贄には、その犯人がなるべきだ。――犯人以外の全員が、そう思った。

https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000392988

読了しての感想

クローズド・ミステリとしての完成度がとても高い1作に仕上がっているなぁと感じました。

閉鎖空間の中でお互いの素性、思惑が交差し、猜疑心が生まれていく過程がとてもリアルでしたね。読みながら、「コイツが犯人なんじゃ・・・?」と頭をフル回転させて楽しみました。トリックや殺害動機の解明も「なるほど、そういうことだったのか!」と過程を読み直して何度も味わうことができました。

しかしこの作品の真にインパクトあるのはラストですね。「事件解決→ハッピーエンド」といったよくある終わり方ではない。読了後は「え・・・」と放心状態になること間違いなしです!これが話題を呼ぶ一因なんでしょうね・・・!

「方舟」を読んで、「十戒」、今夏発売の「楽園」・・・今期は夕木春央先生が覇権を握るかもですね(^^♪

豆知識コーナー:「方舟」って何?

はこ‐ぶね【箱船・方舟】

  1. 〘 名詞 〙
  2.  四角な形をした乗り物の船。方形の船。
    1. [初出の実例]「淀川続の北浜の秋〈友雪〉 箱舟にいけとられ宛二年もの〈西鶴〉」(出典:俳諧・両吟一日千句(1679)第五)
  3. 旧約聖書の「ノアの箱船」をいう。
    1. [初出の実例]「ヱホバ、ノアに言たまひけるは汝と汝の家皆方舟(ハコブネ)に入べし」(出典:旧約全書(1888)創世記)
  4.  箱形をした容器。
    1. [初出の実例]「清き水を満たしたる箱船に此れ等の塊を入れて十分に攪き回はす」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉六)
https://kotobank.jp/word/%E7%AE%B1%E8%88%B9-600803

考察(※未読の方はネタバレ注意※)

読了後に思いついたことを書き出しています。あくまで一個人の感想ですのでご了承ください。

①タイトル「方舟」について

今作のタイトル「方舟」について考えてみました。

おそらく元ネタである「ノアの方舟」という有名な物語を聞いたことがある人は多いと思います。この物語では方舟に乗り込んで助かったのはノア夫妻および全種類の動物のつがいであり、ノア夫妻以外の悪しき人間は洪水によって滅んでしまいます。

今作で主人公たちが閉じ込められてしまった地下建築こそが今回の物語では「方舟」と呼ばれていますよね。確かに建築の名は「方舟」ですが、私は麻衣が製作していたダイビング用のハーネスこそが真の「方舟」なのではないだろうかと思うのです。

地下建築を徐々に満たしていく水流、選択次第では主人公の分も用意されていたであろうハーネス、そしてこれを用いることで迫る危機から逃れることが出来るわけです。そう迫る洪水から逃れ、ノアの方舟に乗り込んだのは”夫妻”なんです。つまり主人公と麻衣だとしたら自作されたダイビング用ハーネスは「方舟」といえるのではないでしょうか・・・?

②麻衣の考えた計画は自身の幸せを再構築するため?

先述した通り、ノアの方舟では悪しき人間は滅びの最後を迎えました。

今作の犯人である麻衣はなぜ夫を含む主人公たちを地下建築「方舟」で始末する必要があったのでしょうか・・・?これについていろいろ考え、多種多様な意見に触れる中で「女としての幸せを求めた結果」という意見に落ち着きました。

本心では望んでいない結婚という現実に加えて、こちら側についてくれるかもしれなかった主人公、自身の犯行を見破った翔太郎、犯行をなすりつけようとしたが上手くいかなかった夫 隆平。これらをすべてリセットすることでしか、麻衣が”女としての新たな幸せ”を手にすることは難しかったのではないでしょうか。

そう、麻衣にとって自身の幸せを実現するために道をふさぐ障害はすべて「悪しき人間」だったのではないか、そう考えると納得いく気がします。「方舟」は彼女の人生のリセットボタンだったかもしれないですね。

もし夫 隆平が地下建築に取り残され、主人公と麻衣が2人で脱出して結ばれた世界があるのなら見てみたい気もします。しかしそれは主人公が「麻衣の犯した罪を知らない」場合に限られます。もし結ばれた世界でもその秘密に触れた瞬間、「悪しき人間」とみなされた主人公はきっと存在を抹消されるのではないでしょうか。

以上、「方舟」読了後のレビューでした。

みなさんはどんな感想を持ったのか、ぜひ知りたいですね♪間違いなく今年読んだ本の中で五指に入るインパクトがあった作品だと思います。

7月には夕木春央先生の最新作も発売されますし、今後も目が離せませんね!

それではまた次回の記事でお会いしましょう!ノミヤでした(@^^)/~~~

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